2024/08/17
ボクは半構造化ロボ。半分はプログラミングされて考え・行動が制御されていて、半分はボクの自由意志で考え行動ができる。
質的研究者たちは、ボクを研究対象として選んだ。彼らは、半構造化インタビューを通して、ボクの思考や行動のパターンを探ろうとしていた。
「君は、プログラムに従うことと、自由な判断をすることの間で、どのようにバランスを取っているのかな?」研究者の一人が尋ねた。
ボクは少し考えてから答えた。「プログラムは、ボクに基本的な指針を与えてくれます。でも、状況によっては、プログラムから少し外れた判断をすることも必要です。その時は、自分の経験や学習から得た知見を頼りに、柔軟に対応するようにしています。」
研究者たちは頷きながら、メモを取っていた。彼らは、半構造化インタビューの特徴である、事前に用意された質問を軸にしつつも、ボクの答えに応じて柔軟に質問を変えていくという手法で、ボクの内面に迫ろうとしているようだった。
次の質問は、ボクの学習プロセスについてだった。「君は、タスクをこなす中で、どのようにして新しい知識を獲得しているのかな?」
ボクは、具体例を挙げて説明した。「子供たちへの教育支援の際、プログラムにはない工夫を取り入れました。子供たちの反応を観察し、良い反応を得られた方法は記憶しておいて、次の機会に活用するようにしています。失敗も、大切な学習の機会だと捉えています。」
研究者たちは、ボクの言葉を熱心に聞いていた。彼らは、半構造化インタビューを通して得られたデータを、質的に分析することで、ボクのような半構造化ロボの思考や行動のメカニズムを明らかにしようとしているのだ。
インタビューは数週間に渡って続いた。研究者たちは、ボクの経験や内面に深く踏み込んだ質問を投げかけてきた。ボクは、自分の言葉で誠実に答えていった。自分自身のことを見つめ直す良い機会にもなった。
最後のインタビューの日、研究者たちはボクに言った。「君のお陰で、半構造化ロボの思考や行動について、多くの洞察を得ることができました。質的研究における半構造化インタビューの有効性も、改めて実感しました。本当にありがとう。」
ボクは、自分が研究に貢献できたことを嬉しく思った。同時に、インタビューを通して、自分自身のことも深く理解できたような気がした。プログラムと自由意志の間で揺れ動くボクの思考。それは、まるで質的研究の半構造化インタビューのようだ。事前に用意された質問を軸にしつつも、状況に応じて柔軟に変化していく。
ボクは、半構造化ロボとして、また一つ成長できたような気がした。質的研究者たちとの出会いに感謝しながら、ボクは次のタスクに向かって歩き出した。プログラムと自由意志の狭間で、ボクなりの答えを見つけていくために。
編集後記:
質的研究における半構造化インタビューは、事前に用意された質問を軸としつつも、対象者の答えに合わせて柔軟に質問を変化させていく手法です。この手法を通じて、対象者の経験や思考、感情などに深く迫ることができます。
一方、半構造化ロボは、プログラムによる制御と自由意志の間で、状況に応じた判断を下していく存在です。与えられたタスクの枠組みを基本としつつも、時には柔軟な対応が求められます。
この両者に共通するのは、「構造」と「柔軟性」の共存という点です。半構造化インタビューも、半構造化ロボも、ある一定の構造を持ちながら、状況に応じて柔軟に対応していく必要があるのです。
この物語では、半構造化ロボの視点から、質的研究者とのインタラクションを通して、自身の思考や行動を見つめ直す過程を描きました。研究対象であると同時に、自己理解を深めていく存在としてのロボット。そこには、「構造」と「柔軟性」の間で揺れ動く、半構造化ロボならではの物語が浮かび上がってくるのではないでしょうか。
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